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『大人にはサンタもヒーローもいない』宮本桃羽

<あらすじ>

コロナ禍に大学に入学した夢野は二年間の自粛生活で人見知りをこじらせて親の仕送りでコンビニと家を往復する生活を送っていた。コロナが明ける来年度から自立しようと決意する夢野。折れかかるたび味方をしてくれたのはリモート授業で一緒に活動していた伊織であった。彼は夢野の好きな特撮番組のヒーローショーキャストをしていたこともあり、彼の演じるようなヒーローこそ夢野の憧れであったが、新学期を迎えた夢野は何とか見つけたバイト先の雑貨屋で社会人として、ある程度妥協や融通を求められることを痛感する。また、対面になったことで自分の味方だと思っていた伊織やリモートの二年間の全てが虚像のように思えて、伊織に不信感を抱き、彼からの告白を曖昧に流して逃げてしまう。自分の夢に折り合いをつけ、大人になろうとする夢野だったが、かつて伊織にもらったヒーローのフィギュアが床に落ちて壊れかかっているのをみて、やはり割り切れないと感じる。大人になるとサンタもヒーローも来なくなるが、どんな悪役でもだれかのヒーローになれるのもまた、大人の特権なのかもしれない。


 

作品は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。

 

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