シナリオ
映像表現・理論 [シナリオ専攻]
榊原綾音
『さみしさにさよならを』

就職に失敗し、アルバイトしながら生活をしていた鈴木春香(25)は、両親と衝突し家を飛び出す。破格の家賃に惹かれて入居した「さみし荘」は、三人の女性が暮らすソーシャルアパートメント。しかし春香が入居した部屋は、過去に人が亡くなっていた、いわゆる事故物件であった。
入居日の夜、自室にかつて住んでいた住人、金子麗奈の霊が現れる。自分の死の理由を知らない麗奈は「死ぬまでにやりたいことリスト」を差し出し、それをこなせば真相に近づけるかもしれない告げ、春香に協力を迫る。半ば脅されるようにして春香は協力を始めた。
「死ぬまでにやりたいことリスト」をこなし、住人たちと交流を重ねるうちに、春香は住人たちの後悔を知っていく。お節介焼きの西島茜(20)は、助けたかったのに拒絶され衝突してしまった後悔を抱え、強気なヤンキーの柳あずみ(20)は、踏み込めず酒を渡した自分の過ちに苦しんでいた。唯一、死の瞬間を目撃していた内気な少女、柊瑠璃(20)は麗奈との思い出を悲しいものに変えたくないと、沈黙を守っていた。春香は、三人と麗奈のすれ違いを少しずつ解きほぐしていく。
やがて、全員が集まった食事の場で、瑠璃が真実を語る。麗奈は自殺ではない。あの夜、酔った麗奈が猫のヒロを探してベランダに出て、誤って転落したのだと。霊障も、誰かを責めるためのものではなかった。涙の中で三人は麗奈と和解し、成仏の儀の最後に、全員の前に麗奈の姿が現れる。全員にありがとうと言い消えていく麗奈。
住人たちは、麗奈との誤解が解けたことで、寂しさと悲しみを抱えたままではなく、彼女の想いと共に前を向いて生きていく。さみし荘に、かつての明るさが戻った。数日後、春香はスーツに身を包み、新たな一歩を踏み出すのだった。
タグ:
Drama, 4年
本文は日藝博期間中、江古田校舎でお読みいただけます。
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