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「ソフィア・コッポラとポストフェミニズム:女性の表象とその複雑性」胡馨煜

<論文概要>

ポストフェミニズムの文脈においては、女性の成功や個人の選択が強調される一方で、映画業界全体のジェンダーバランスの歪みや女性に課される制限が隠蔽されがちである。コッポラの存在そのものが、ハリウッドにおける監督の数の少なさを際立たせると同時に、彼女が「特別な存在」として語られることで、逆に女性の多様な声が抑圧されている現実を露呈している。このような背景の中で、なぜ映画業界は依然として女性監督に物語を語る機会を制限しているのかという問いは、単なるジェンダーの問題に留まらず、権力構造や文化的な価値の偏りを再考するきっかけとなる。コッポラの作品は、女性の内面や感情を繊細に描き出すという点で異なるアプローチを取り、より私的な世界観を提示する。彼女をはじめとする女性監督が描く女性の物語の再評価は、ポストフェミニズムの延長線上に立つ女性たちが、自らの視点や物語を再定義し、その価値を見直す試みである。


<卒論を終えて>

1年間お疲れ様でした。 ホラー映画の女性像というテーマから変更して、今のソフィア・コッポラの作品にたどり着いた。指導教授の志村先生は毎週提出した文章をきちんと読んで、そして細かいところまで訂正させていただき本当に感激の気持ちいっぱいでした。締切日を踏みながら完成した文章でもあり、このような長文を書くプロセスを通して自分の不足もよく見えている。 ソフィア・コッポラを言及するたびに、常に彼女の作品は狭い、あるいは「女々しく」というコメントがよくある。しかし、このような偏見から抜け出して、もう一度彼女の作品を観れば、その目線(カメラワーク)に潜んでいるニュアンスが美しくて切ないと感じられるだろう。

 

作品は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。

 

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