シナリオ
映像表現・理論 [シナリオ専攻]
岡本千紗子
『夏を追い越す』

小学六年生の桜田結衣子は、毎日同じルーティーンを守って登校する几帳面な少女である。しかし、少し風変わりな性格が理由でクラスメイトの女子からいじめを受け、孤独と寂しさを抱えながら日々を過ごしていた。ある日、塾の帰り道にいじめの主犯格である柿沼真依の父親と担任教師の笠間静香が不倫関係にある現場を偶然目撃してしまう。衝撃的な出来事を母に打ち明けるが、一人で結衣子を育て、仕事に追われている母の桜田真理子は真剣に取り合ってくれない。母への苛立ちと、いじめに対する復讐心から、結衣子は衝動的に真依本人へ不倫の事実を伝えてしまい、事態は大きくこじれていく。
真依は泣き崩れ、問題は学校を巻き込む騒動へと発展する。担任教師から呼び出しを受けた母は結衣子との関係性に悩み、彼女をしばらく祖父の桜田直昭が住む田舎へ預ける決断をする。久しぶりに会う祖父に人見知りをし、田舎暮らしに納得できない結衣子だったが、母に連れられ渋々向かうことになる。慣れない生活に戸惑いながらも、祖父の深い優しさや、ハーフの少女、岡山絵里との出会いを通して結衣子は少しずつ心を開き、自分自身や他人と向き合うようになっていく。さらに、祖父が抱える祖母の桜田希美子との死別への後悔や心の痛みに触れたことで、結衣子の価値観は大きく変化し、祖父への愛情を強く感じるようになる。
しかし、夏休みの終わり、母の突然の訪問によって結衣子は、祖父や絵里との別れを惜しみつつ帰省することになる。母は、結衣子の言動から以前とは違う成長を実感する。夏休み後、結衣子は成長した心で真依と向き合い、正直な気持ちを伝えて謝罪する。そして結衣子は、担任教師に不倫をこれからも続けるのかと問うのだった。しかし、担任教師は責任を認めず、真依への謝罪も拒んだ。一方、田舎に一人残された祖父は、結衣子のさらなる成長を静かに願い続けている。
タグ:
Drama, 4年
本文は日藝博期間中、江古田校舎でお読みいただけます。
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