『My Train』阿部 桜久ジャズプレイヤーとしての成功を目指す青年は、うだつの上がらない日々の中でもがく。ある日、久しぶりに帰った実家で彼は、サックスを持つ祖母と向き合う。 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。▷ 映像表現・理論コース [映像専攻] の映像作品 About 映像表現・理論コース
ジャズプレイヤーとしての成功を目指す青年は、うだつの上がらない日々の中でもがく。ある日、久しぶりに帰った実家で彼は、サックスを持つ祖母と向き合う。 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。▷ 映像表現・理論コース [映像専攻] の映像作品 About 映像表現・理論コース
冒頭の主人公を追うカメラワークを筆頭として、高いレベルで全体のクオリティコントロールができていることに関心し、また羨ましく思いました。その一方で、プロユースレベルの機材や俳優さんを扱うからこそ、被写体を狙うピントの若干の甘さやフォーカス操作のぎこちなさ、カットとカットの繋ぎに僅かにできた妙な間など、撮影、編集の際の些細な判断ミスや見落としのようなものが、観客にとっては物語に没入する際の非常に大きなノイズになることも感じてしまいましたし、ルックがリッチになればなるほどその中で緊張感や集中力を持続させるためにいかに技術が必要であるか、ということは作者さんも感じられたのではないかと思います。
ストーリーとしては「周りの人間がよってたかって主人公を構いたがる」ような見え方をしてしまっているのが惜しいなというか、夢を追う人間にとって辛いのはむしろ逆の「自分がどんなに声を張り上げようが誰も関心を示さない」という方だったりすると思うので、他のキャラクターとの交流は展開が必要とする最小限に整理した方が良いように思いました。また、認知があやふやになってきた祖母をあたかも純粋な天使のように描いている点には老人像の解像度の甘さを感じ、疑問を抱きました。