『虚像恋愛』林 玲衣「一方通行、そっちの方が苦しくない」 母親がたまにしか帰ってこない部屋で暮らす、みつみ。みつみは、カカシに恋愛感情を抱いていた。放課後、カカシに会いに行っているところを同級生の茂に目撃されてしまう。 昨年度の短編映像作品『吹いて、碧落』(2023)に引き続き、“枠にとらわれない生き方”をテーマに、対物性愛をモチーフとした秋の青春物語。 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。▷ 映像表現・理論コース [映像専攻] の映像作品About 映像表現・理論コース
「一方通行、そっちの方が苦しくない」 母親がたまにしか帰ってこない部屋で暮らす、みつみ。みつみは、カカシに恋愛感情を抱いていた。放課後、カカシに会いに行っているところを同級生の茂に目撃されてしまう。 昨年度の短編映像作品『吹いて、碧落』(2023)に引き続き、“枠にとらわれない生き方”をテーマに、対物性愛をモチーフとした秋の青春物語。 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。▷ 映像表現・理論コース [映像専攻] の映像作品About 映像表現・理論コース
雲、夜の電車、「じゃあまた学校でね」と言われた男の子とカカシのショット、とても好きだった。こういう“ショットの撮れる”映画作家さんは、これからも作品を作り続けて欲しい!
前半シーンの空白を感じさせる画面構成や、日常から離れた鮮やかな色彩が絶妙なアンバランスさを生み、全体的にしっとりとしたトーンの物語にある種のポップさを与えているように感じました。
主人公の暮らす散らかった部屋も「他人には理解されない大切なものを集めた宝箱」のようにきらめいて見えて、彼女の小さな世界をのぞき見しているような気分になります。
人間は案外図太くて、あっけらかんとしたエンディングになんだか少し救われました。
対物性愛というハレーションを起こすような一方通行の恋愛を描くことと、色に溢れたスタンダードサイズの画面から発せられるムッとするような映像世界とが、ほとんど趣味的にマッチしていて観ていて楽しい作品です。主人公が置かれた環境が多少分かりにくいですが、意外にも風通しが良いエンディングはきっと監督の次回作にも繋がってゆくのでしょう。