<論文概要>
田中澄江は1950年代に活躍した脚本家の一人である。女性脚本家という括りで見れば、同時期に水木洋子や和田夏十が肩を並べているが、田中澄江に 関する書籍だけが存在しない。本論文では彼女独自の作家性を見つめ直し、それらの再評価を目的として、戯曲『つづみの女』、映画『稲妻』(1952)、『乳房よ永遠なれ』(1955)、『夜の河』(1956)、『女ばかりの夜』(1961)を取り上げる。どれもオリジナルではなく原作のある脚色作品だが、田中の手によって働くこと、愛すること、愛されることに貪欲でまっすぐな女性の姿が躍動している作品である。本稿では原作とシナリオとの比較、シナリオの未定稿と決定稿との比較などを通して、いかに田中が生々しく写実的な台詞やキャラクターを生み出したか迫っていきたい。
本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。
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