『吹いて、碧落』林 玲衣“普通”がどうかも、”普通”が何かもまだ知らない人を恋愛的に好きになるという感情が分からない主人公、なずなの心の葛藤と間を意識した映像作品。※本作は3年生の作品になります※ ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。▷ 映像表現・理論コース [映像専攻] の映像作品 About 映像表現・理論コース
“普通”がどうかも、”普通”が何かもまだ知らない人を恋愛的に好きになるという感情が分からない主人公、なずなの心の葛藤と間を意識した映像作品。※本作は3年生の作品になります※ ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。▷ 映像表現・理論コース [映像専攻] の映像作品 About 映像表現・理論コース
肩の力の抜けたスタイルでなずなの世界を揺さぶる岡田さん、受け身の演技中心でありながら自然と目を惹かれるさかきさんを筆頭に役者さんが総じて素晴らしく、いつメンの心地よい空気感がとてもよく演出されていると思いました。トイレでのサイケデリックなカットやクライマックスとなるなずなの独白、全編にわたって流れるBGMなどが「ここはこういうふうに見てください!」と言わんばかりに断定的かつ説明的に始まるのが玉に瑕なのですが(そしてそうしたくなる不安な気持ちは非常によくわかるのですが)、一観客の目には直接的な言及や説明的な音楽がなくとも、三人の芝居の行間だけで伝えたいことは十二分に伝わっていると感じました。音声など技術的な面での気になるところもありましたが、いい映画を見た、と思っています。
作品で風景のスケッチをし続けるなずなのように、インサートも含めた実景カットがとても瑞々しい作品です。一方で「ちょっとした違和感」にこだわるなずなの内面描写には一考の余地があるでしょう。
なずなの気持ちを「これだ」と断定的に描かないまでも、たとえば先輩から告白されるところは、
告白される前のなずなの表情から、階段で炭酸が噴き出すところはイタズラを仕掛ける友人との表情が分かる寄ったサイズを間に使うだけでも、なずなの日々の気持ちの揺れみたいなものが表現できると思います。ラストシーンが安定的に終わっているのも「やっぱりなずなはそのまんまでいいと思う」と言われた後になずなの表情が入っているからなのではないでしょうか。