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『青凪の影』多田 有希

<あらすじ>

 浩志(42)は世界一周単独ヨットレースを最年少で優勝した。その後は不慮の事故で妻を死なせ、廃れた日々を送っていた。そんな浩志の唯一の生きがいは息子・大智(13)。ある日、大智に「もう一度海に出て欲しい」と頼まれ、浩志は再起を決意する。 翌日、浩志はヨットスクールに向かい、レース出場のため、かつての仲間に協力を仰いだ。

 レース当日。仲間の助けもあり無事に出発したが、浩志には心残りがあった。妻が海難事故で死んだことを大智に隠したままだったのだ。

 航海は困難を極めた。嵐で無線が途絶え、浩志は孤立した。死を悟った浩志は反応のない無線に向かい、海難事故のことを懺悔した。

 どんどんと衰弱する浩志。すると突然、事故の記憶が蘇った。自分を呼ぶ妻の幻覚を見て意識を取り戻した浩志。無線からは浩志を呼ぶ声が聞こえていた。

 無線の相手は大智。浩志の身を案じ通信基地のあるアメリカまでやってきたのだった。浩志の懺悔は大智まで届いていた。浩志の背中を押す大智。迷いの無くなった浩志は進み続け、レースを完走した。


本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。

 

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