<論文概要>
本稿では、西河克己という映画監督がリメイク作品をどのように演出したのか。そして、この演出から西河作品に見られる独自性を発見することで、西河が映画製作を通じて日活にどのような影響を与えたのかを見直し、再評価をはかることを目的として分析を行ってきた。ここで重要な存在として、日活時代を吉永小百合、無所属時代を山口百恵という二人の女優の存在をあげている。この2人の女優がスターへと転身する足掛かりとなったのが西河の映画であることは間違いなく、また西河自身も彼女達の資質を見抜いた映画演出を行いながらリメイク作品を製作していた。同時に、西河作品に指摘される「独特の職人芸」や「格調」といった要素を紐解くと、そこにはかつての日本的な美しい風景描写や「縦の構図」「映画話術」といった伝統的な演出が画面を横断していた。女優の素質を活かし、演出する西河のリメイク作品はそれぞれの女優に見合った演出と現代性を纏いながら、一方で日本映画の「格調」を画面に横断させ、物語を展開していくのである。
本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。
ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
Comments