<論文概要>
第一章ではモノクロ映画の特徴とカラー映画の特徴を論じ、それぞれを比較して違いを明確にして、衣裳が映画にどのような効果をもたらすのか論じる。また、小津が好んでいた赤色にも言及する。第二章では主に女性たちの着物と洋服のそれぞれの特徴や役割を論じる。また、女性たちがよく割烹着や前掛けを着用していることにも注目する。第三章では『彼岸花』(1958)から登場した「おじさん」たちについて論じ、「おじさん」たちが着ている服と女性が着ている服の違いなどを明確にする。第四章では主人公と主人公を取り巻く女友だちについて論じ、主人公との衣裳の違いやその立場について考察する。第五章では時代の変化によって俳優たちの衣裳がどう変わっていっているのかを論じ、小津映画における衣裳の役割を考察する。そして全体を通して、衣裳が映画にどのような効果をもたらしているのか、そしてそこに男女の対立や衣裳がどのように機能しているのかを検証することで、1950年代から60年代の小津映画における衣裳の変化を総括する。
本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。
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