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『INSECT』鈴木 瞳

<あらすじ>

 AI技術が進歩し切り、人間と見紛うばかりのアンドロイドが大量生産される文明が進み切った時代に、インセクトと呼ばれる不思議な生命体が誕生する。インセクトとはありとあらゆる生き物の傷を癒す。胸に埋め込まれたハートのパラメータが完全消滅しない限り、何人でも癒すことができるが、死人を甦らせると、一人でハート全てを消費してしまう。1日経てばハートは元に戻るため、使い切りさえしなければ、効果は永久である。しかし、ほとんどのインセクトはすぐに誰か、何かのために命を使ってしまうため、その寿命はとても短い。

 そんな中、突然変異的に自我を持ち、寿命がとても長いインセクトが現れる。それがこのストーリーで主軸となる壱、二十八、史郎だ。彼らはそれぞれ、治癒能力以外にも、一つだけ特殊な能力を持っている。その能力を使い、あるものは享楽的に、あるものは慎ましく普通の人間に近い暮らしをしている。彼らはそんな長い時間の中、史郎をリーダーとして、日本を拠点に基本アングラな事件に首をつっこむちょっとした自警団を気取っている。メンバーには人間の女性の咲もいる。

 今回彼らはアバターゲームという、富裕層の青少年たちの間に起こっている社会問題に触れる。ところがこのアバターゲームのバックには黒龍会という反社会的組織が。そこに新興宗教の天眼教の思惑も絡み、ますます事件は大きくなっていく。頭のネジが外れたヤクザ、女俠客、悩める青少年らと関わり、戦い、心を通わせたりの非日常をインセクトたちは楽しむ。しかしそれが終われば、再び日常の中に溶け込んでいく。


 

本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。


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