<論文概要>
レオス・カラックス作品に欠くことのできない火や水といった流動性のモティーフ。それは画面上を彩るただの装飾ではなく、また我々の眼を刺激するアトラクション的なものでもない。火や水などの個別のモティーフは映画内のカットやシーンに対応しながら、それらが有するイメージを立ち表せる。この流動体の持つ物質的イメージがカラックス作品では巧みに用いられている。そしてカラックスはそれらのイメージを作品内に組み入れることで「身体性」というものを想起させようとする。それは現代において身体性を失っている我々のような存在へ向けら れたメッセージであり、決して直接的に身体性の賛美を行なったり、身体性の弱化への非難をするわけではない。このような流動性が持ち合わせる物質的イメージによって身体性の豊かさを観客は理解するのである。
本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。
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