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- 『灯台の灯りが照らす場所』三澤 元揶
<あらすじ> 静岡県真鶴の魚市場で働く吉田敏明。 敏明は20年前に妻、宏美と離婚しており今は実家で独り暮らしている。敏明には二十七になる一人娘の彩花がいる。彩花と宏美は東京で宏美の恋人、田中大輔の家で暮らしている。春が過ぎ、新緑が芽吹く頃。彩花は恋人の清水孝太と婚約する。彩花は結婚式のバージンロードを父、敏明と歩きたいと思い付く。宏美は反対するが彩花は真鶴へ向かう。離婚後、数年間連絡を取り合っていた敏明と宏美。宏美からの数年ぶりの連絡を受け、敏明は彩花と再会する。敏明は過去の罪悪感から、彩花の提案に頭を悩ませる。しかし常連の定食屋で働く谷口國子や職場仲間からの助言により、敏明は提案を受け入れることに。敏明は彩花と宏美に会いに東京へ。婚約者の孝太とも会い、その夜は大輔の家で食事をすることに。しかしそこで、宏美が彩花に離婚した本当の理由を隠していた事実が発覚する。当時、敏明は失業しており働かず部屋に篭る日々が続きどうすることもできず、敏明は何も言わずに真鶴に逃げたのだ。 東京から真鶴に戻り、彩花に真実を知られた敏明は結婚式に出るべきか再び悩む。亡き母郁代の友人である國子からの助言により再び彩花と向き合った敏明は、互いの想いを言葉にして伝え合う。結婚式へ一歩前進したかと思われたが、その晩彩花は孝太から婚約を破棄されてしまう。理由を話さず部屋を出ていく孝太。彩花から連絡を受け敏明は再び東京へ。宏美と話し合った敏明は孝太が働く会社に向かい、彩花ともう一度話して欲しいと頼む。宏美もまた彩花と向き合い背中を押す。その後、孝太は彩花に自分の想いを伝えるが、結果婚約は破棄されてしまう。しかしこの一件で再び家族が形を取り戻す。彩花は翌朝、敏明に会うため真鶴へ向かった。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『ペット』福田 楓恋
<あらすじ> 孤独を感じて過ごす高校二年生の十波藤太。そんな藤太に声をかけてくる変人、佐々風賢知。 藤太は明るく話しかけてくれる並川柊吾と友人になりたい一心で、犬を飼っていると嘘をついてしまう。また、祖母である十波花にも友人がいると嘘をつく。嘘を実現すべく、イマジナリーの犬と賢知を生み出して、嘘をつき始める藤太。 ある日、賢知の早弁により食中毒で腹痛を起こし、クラスメイトの小久保雄太に藤太の親が人殺しだから、藤太が毒を盛ったのだと噂される。 学校に居づらさを感じている藤太に、隣人の女が十歳の少年を押しつけて行方知らずに。賢知に少年を見せようと藤太たちは家に向かうが、家から少年が飛び出して走り去る。藤太は賢知を置いて、追いかけて行くと公園にたどり着く。そこで母親の十波佳代と再会するが、藤太は記憶を失っていて、佳代を追い払ってしまう。 藤太は賢知のいる家に戻る。そして佳代も家に訪ねて来る。賢知は佳代を藤太の母親かと聞くが藤太は否定し、少年を預けてきた女だと言う。しかし、賢知が隣は空き家だったことを明かす。 母親は七年前、暴力を振るっていた藤太の父親、香山晴夫を殺害した罪で刑務所に入っていたが、最近出所したという。 藤太は賢知のことをイマジナリーだと思っていたが、賢知はイマジナリーではなく、ずっと実在していたことが発覚。そして、隣人の女は母親である佳代の幻で、少年は過去の藤太の幻であったと判明するも、また少年が現われ、藤太は賢知を連れ少年を追いかけて公園へ。 少年は、藤太のトラウマとなっていた七年前の再現ごっこをしようと提案。再現ごっこによって、晴夫を殺害したのは自分で、佳代は自分を庇っていたのだと思い出す。混乱に陥る藤太に、賢知は過去のトラウマは忘れても良いんだよと言い放つ。藤太は、トラウマを超えなくても良いんだと、安堵し、一緒にトラウマにも目を向けて生きることを決意する。 学校に行くと、賢知を初めとして柊吾と龍が藤太の友達に。賢知がまた早弁によって腹痛を起こすが、四人で笑い合う。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『Re:sister』滝澤 空
<あらすじ> 双子の姉妹、姉の音瀬みづきは売れないVtuberとして日々自堕落に近い生活を送っているが、妹の音瀬いつきは吹奏楽部のトランペットリーダーとして日々忙しい生活を送っている。 みづきはいつきに嫌悪されており、姉妹仲は良いとは言えない状態であった。 そんなある日、みづきはコミックマーケットにコスプレをした売り子として働くことになる。 コミックマーケット当日、みづきは前から走ってきた同じクラスの女子、霞浦まきと出会う。 まきとコスプレ撮影会を約束するみづきであったが、学校にてまきが同じグループの女子生徒たちに馬鹿にされてしまう。 みづきは女子生徒たちに立ち向かうが、まきにはそのことに対して怒られてしまう。 まきの苦しそうな顔に耐えられなかったみづきは女子生徒たちに啖呵を切る。 その後、親友となったみづきとまき。 コスプレ撮影会後、母親の時子にVtuberも演劇も頑張りたいと伝えるみづき。 時子から許可をもらったみづきは、学校で小さくも大きな一歩を踏み出し、まきと笑い合った。 一方、いつきはトランペットの音が上手く合わない、スランプに陥っていた。 スランプ状態のいつきに部長の我妻心と吹奏楽部部員たちは一緒にスランプを治そうといつきに寄り添う。 母親である音瀬時子に話すことで、スランプの脱出口を見つけたと感じるいつき。 しかし今度は、気分転換が上手くできないことに悩んでしまう。心に相談し、なんとか気分転換の仕方を掴むいつき。 だが演奏してみると、なにかが足りない気持ちになってしまう。 そんな時、いつきはみづきから励まされ、足りない物を理解することになる。 みづきといつきの二人は、みづきがVtuberとしても演劇でもトップを獲る、いつきは音楽界のトップになると約束を交わすのであった。 数年後、言葉通りみづきといつきは一歩、その約束に近付いたのだった。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『庭球bpy』清水 祥平
<あらすじ> 一ノ木戸小学校四年生の中村太郎(9)は学校の放課後にいつも幼馴染の皆川将也(9)、友達の長谷川聡太(9)、熊倉慎太郎(9)、土田満(9)らとグラウンドで野球をしている日々。太郎は水泳を習い事としていたが、新しい習い事をしたいと考えている中で、将也が通っているテニスクラブにいつも放課後野球をしてから将也が通っている三条テニスクラブに一緒について行っている。ある日、コーチの野田絵里(25)と米山隆史(32)は将也に同世代の練習相手がいない為、幼馴染の太郎を勧誘できないかと伝える。将也は学校で太郎に三条テニスクラブに入って、一緒にテニスをしないかと伝える。太郎はテニスを始めたい気持ちはあったが、親がいいと言ってくれるか心配な中、勇気を出して母の中村明美(40)と父の中村友之(38)にテニスをやりたいと伝える。太郎は一度体験に行くことになる。体験で太郎は初めてながら、身体能力の高さをオーナーの岩月正之(70)をはじめとする、コーチの絵里や隆史に見せることになる。そして太郎は体験でテニスの面白さに気づき、強くなりたいという思いから、三条テニスクラブに入ることになり、テニスを一から始めることになる。太郎は日々練習を重ねている中である日、友之から重要なことを告げられる。それは祖父の中村鉄朗(69)の命が危ないということだった。太郎は鉄朗に、生きている間に初めての大会で初勝利を見せたいと決意する。大会のトーナメント表が出ると、将也に初めての大会で初勝利は難しいと言われる。さらに太郎の相手は格上の田中瑛二(11)だった。序盤は初めての試合で緊張している太郎は瑛二と相手にならない。試合が進む中で鉄朗が太郎の試合に駆けつけると、太郎の緊張して楽しんでいない様子を見た鉄朗は太郎に楽しめと伝える。太郎は鉄朗に言われてから力を発揮し、鉄朗の前で大逆転を見せる物語。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『Blue Moon』横山 天音
<あらすじ> 大人気漫画家、高橋愛(22)はスランプに陥っていた。愛は、漫画に対するこだわりが強く、他人に弱音を吐けない。 人気アイドル・中森蘭(18)が主人公のサスペンス漫画。『パーフェクト・ガール』を執筆途中、腰を壊し、自分の満足する原稿が描けなくなる。 とうとう愛は、勝手に『パーフェクト・ガール』の連載を終えようと試みる。 しかし、担当編集中野雄一(30)に阻止され、泣く泣く漫画家を続けることとなった。 そんな中、442年ぶりの皆既月食と惑星食が同時に起きようとしていた。 ウラノス(25)は、銀河中の娯楽を収集するのが趣味の宇宙人。重度の漫画オタクでもあり、地球にしかない貴重な漫画を求めてやってきた。 しかし、エンジンの故障で裏山に墜落。ウラノスはひょんなことから、愛と出会い、迎えが来るまでの間、愛の家に居候することに。 ウラノスは、自分が居候する代わりにある提案を持ちかける。 それは愛とウラノスの二人で、漫画『パーフェクト・ガール』を連載すること。 愛は、宇宙人との共同生活に戸惑いながらも、漫画の連載を続行する。 ウラノスは、「高橋愛・漫画家への道」という掟を掲げ、愛の堕落した生活を矯正するところから始める。 連載を再開した『パーフェクト・ガール』第二部は、瞬く間に人気を博す。 しかし、漫画で起こった出来事が、現実世界でも起こるようになり、日本中が大混乱になる。それはウラノスが引き起こす力が原因で影響されるものであった。愛は、現実と漫画に板挟みになりながらも、奮闘する。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『umbrellas』紀伊 果音
<あらすじ> 香港の都市部から遠く離れた新界(New Territory)の村でイギリス人の母・Helenとふたりで暮らす楓花。母・ゆりを亡くし、貿易業を営む父・類と、香港中心部に構える豪邸に住む李人。忙しい外交官の両親を持ち、李人と常に行動を共にする京介。それぞれが孤独を抱える6歳の彼らは、新界の美しい白壁の平屋で、Helenの温かな歓迎のもと、兄弟のように遊ぶようになる。しかし、母・ゆりの三回忌の席に、ゆりの父が乗り込んできて、「お前がゆりを殺した」「あの外人の娘はどうした」と類を怒鳴りつけたことで、Helenと父の不倫で母が心を病んだこと、楓花は自分と後継を争う腹違いの妹であることを李人が理解する。 真実を知った李人が楓花を拒絶し、交流が途絶えてから月日は流れる。高校2年生、16歳になった3人。進路選択を前にした李人と京介のもとに、楓花が新界の村を出て、突然転入してくる。時を経て、身体の関係を交わすようになった李人と京介。過剰な教育ママだった母・Helenの束縛を離れ、自由を感じる楓花。香港の雨模様の中、大人に向かっていく3人は、未来に何を望むのかを互いに問う。日本文学を愛し、日本の大学に行きたいと望む楓花、長年の片思いに蹴りをつけ、李人との身体だけの関係を終わらせたい京介。後継としての自分、妹である楓花の存在、父への思い、複雑な感情を処理できない李人は夢を語ることなどできない。 そして、楓花がHelenの徹底的な管理のもと辿ってきた村での辛い日々、そして、村を出た本当の理由であるHelenの死を語ったとき、李人は白壁の美しい家を前に決める。「燃やそう」。Helenと類が2人で建てた愛の家。新界の森の中、忌々しい記憶を消すように、李人は思い出の家に火をつける。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『影を踏む』西 玲央菜
<あらすじ> 主人公・井坂真琴が通う高校では、生徒の上履きが盗まれる事件が頻発していた。ある朝、真琴のクラスメイトの君島沙耶の上履きが無くなっていた。真琴は、沙耶を含めた四人組で日々を過ごしているのにも関わらず、彼女の高圧的な態度が苦手だったため、何も声をかけられなかった。その後、四人組の中の檜山亜沙子、刈谷日和がやってきて、沙耶を慰めた。真琴はその輪の中に馴染めず、ひたすら愛想笑いで誤魔化し続けた。そんな鬱々とした日々を送っていた真琴だが、ある日、行きつけの洋菓子屋にお菓子を買いに行った際、謎の女性・久世祐希に出会う。美味しいものが好きという共通点で意気投合した二人は、名前も知らぬまま、毎週金曜日におすすめのお菓子を紹介し合う仲になった。一方学校では、真琴以外のグループメンバー全員が上履き盗難事件の被害者となり、「真琴が盗んだのではないか」と嫌疑をかけられてしまう。更にグループでの居心地が悪くなった真琴は、一層祐希との親交を深めていった。ただお菓子を紹介し合う仲ではなく、深い関係になりたかった真琴は、彼女に素性を尋ねるも、何も詮索しないでほしいと拒絶されてしまう。心の支えだった祐希との距離が遠のき打ちひしがれる最中、亜沙子が金曜日に私と出かけようと真琴を誘う。真琴の脳内には祐希がちらついたが、それを振り切るかのように亜沙子の誘いに乗ることにした。しかし彼女と出かけているときも祐希が忘れられず、亜沙子を置いて祐希の元へと駆ける。祐希と対面した真琴は、なぜ詮索してはいけないのかを尋ねる。すると感情が溢れた祐希は、自分の過去を吐露する。それを聞いた真琴も、自分が抱いている本心全てを祐希にぶつけ、祐希と本当の友人になることができる。その後真琴は、グループに対して愛想笑いで誤魔化すようなことはせず、自らの意思で行動するようになる。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『バターが溶けたら』草刈 邑依
<あらすじ> 暑い夏の夜、三森万智日は駅の向かい側のホームにいる女性・緋村あかりをスケッチしている。それに気がついたあかりは、万智日を呼び寄せ、バーに連れて行く。あかりは官能小説家で、テレビでコメンテーターもしている。一方、万智日は美術大学で油絵を専攻する学生だ。あかりは万智日を家に連れて行き、ホットケーキを作った。あかりは心臓の持病のためにセックスができないこと、その代行を万智日にしてほしいことを伝える。万智日はいっとき逡巡するが、ホットケーキを条件に、その『仕事』を受け入れる。 あかりの注文で身なりを整えた万智日は、初めての『仕事』をする。セックスのできないあかりにとって万智日の報告にはリアルな臨場感が必要だ。初回の『仕事』を通して、万智日はあかりの身体と精神の結びつきについての考えをしる。 あかりは、美術予備校でアルバイトをしている。そこの職員・桃井守は万智日に好意を抱いている。二人で食事をとってみると二人の相性はいい。守は、自分が子持ちであることを考慮した上で、好意を伝える。万智日は、たまに食事をするところから始めようと提案し、守も賛成する。 万智日は、卒業制作を控えた4年生の秋を迎えた。自画像を描くことへの不安を感じる一方で、桃井親子とのたこ焼きパーティが決まる。浮かれる万智日をよそに、あかりは『仕事』を促す。女性との一晩の後、万智日はこの『仕事』や、あかりとの関係性について不満を感じる。一方的なあかりへの親しみをかなしく思ったまま、万智日はあかりの家を出る。桃井親子との楽しい時間の後、素直に守への気持ちを表現できない万智日。 家に帰り、あかりが死んでいるの発見する万智日。呆然の中、警察からの取り調べで、あかりについて何も知らない自分を思い知らされる。失意の中で向かったあかりの告別式で、あかりのマネージャーの生田に出会う。生田を通してあかりからの想いに触れる万智日。 あかりの家でホットケーキを作って食べる万智日は、泣きながらも制作を始める。自画像を塗りつぶして描いたのは、出会ったあの日に描いていたスケッチと同じ構図。晴れた顔の万智日は、絵の中のあかりを見つめている。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『指の先から』小野 慧音
<あらすじ> 高校3年生のすずは、あえて友達を作らず、学生生活の中で誰とも喋ることなく、心を閉ざした日々を送っている。すずがそうなったきっかけは、父の会社が倒産し、両親の仲が徐々に悪くなっていく姿を見て、友達や家族と言った関係に、希望が持てなくなってしまったからだ。すずの同級生で、中学時代仲が良かった晃はこう語っている。「誰から見ても、理想的な家族だった」と。 そんなすずには、唯一のかけがえのない存在であるルゥという犬が居る。ルゥはすずの癒しであり、家族であり、友達であり、たった1つの居場所だった。そんなある日、学校から帰宅すると、普段夜にしか帰ってこない父・厚史の車が停まっていた。すずがルゥに会いに行くとそこには、ルゥを虐待している父の姿があった。父を止めて、家に帰ってきた母である菜穂子に相談しようとするも、逆に「父とはもうやっていけない」と愚痴を聞かされてしまう。 自分しかルゥを守ることはできないと悟ったすずは、進学先を東京から地元の福岡の大学へ帰ることを決意する。高校の卒業式には、母への感謝をスピーチに表すが、結局母が卒業式に顔を出す事はなかった。その時も、ルゥだけがすずの卒業をお祝いしてくれた。大学生になったすずは、塾でアルバイトをしている。父との関係性は相変わらずだが、前ほど人と関係を築くことに、毛嫌いすることはなくなっていた。 しかし塾でアルバイトの欠員が出た日、ルゥは厚史の虐待の末に亡くなってしまう。ルゥが亡くなったショックと怒りで、厚史を殺すとするすずだったが、結局それは出来ず、荷物を全て持ち、家を飛び出していく。 そこで出会ったのがネイリストである美冬だった。ルゥが亡くなってすぐ、東京に向かう夜行バスの中で出会った2人は、ネイルを介して、徐々に心を開いていく。 2年ほどの時を経て、ようやくネイリストとして自立できるようになったすずは、美冬とすずで暮らしていた。 ある日、郵便受けに菜穂子からの手紙に気づく美冬。「会いたくない」と拒否するすずと、「いい加減に、自分を責めずに生きて欲しい」と願う美冬は分かり合えず、喧嘩をしてしまう。そんな時、お客さんである加藤と出会う。加藤は、自分の注意不足から愛猫を亡くしていた。その人と自分のルゥへの後悔を話す吐露する中で、少しずつ今の自分の気持ちを受け止めていくすず。家に帰り、改めて美冬と話す決心をする。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『トベる』戸高 里安奈
<あらすじ> 中学三年生の白井健斗(15)は、毎日の通学で同じバスに乗り合わせる他校の生徒・浦野瑞希(15)に思いを寄せていた。白井はある日、物静かなクラスメート・十部英二(15)が瑞希と二人で仲睦まじく会話をしているところを目撃し、「瑞希の情報を仕入れるために十部と仲良くなろう」と思いつく。白井は、勉強を教えてもらうという名目で十部との関係性をつくり、十部という共通点と利用して瑞希に話しかけることに成功する。そんな白井の思惑とは裏腹に、十部は今までクラス内で浮いた存在だった分、白井が自分に話しかけてくれたことを素直に喜び、白井のことを本当の友達だと感じるようになっていた。 白井は毎日の通学や、十部と瑞希の共通の趣味であった地下アイドルの応援を通して瑞希との仲を深め、瑞希と恋人関係になる。その事情を知らない十部は、白井のことを唯一の親友のように感じ、白井に依存していくようになり、白井が他の誰かと仲良くしているとモヤモヤするようになっていた。そんなある日、十部はクラスメートの安達直哉(15)から、話の流れで白井が瑞希と付き合っていることを聞かされ、「白井が自分に近づいたのは瑞希と仲良くなれるように利用するためだった」と気づく。十部は白井に対し裏切り者だと思い込み、自分だけに注目してもらうために「僕の言うことを聞かないと瑞希がどうなるかわからないよ」と白井を脅し、白井を自分だけのものにしようとする。白井と十部の関係性を揺るがすものを排除するべく、クラスメートに危害を加えたり、白井が可愛がっていたウサギを殺すなど、白井自身の精神をも追い込んでいく。白井は瑞希を守るためにも十部に強く逆らうことが出来ず、クラスの中でも浮いた存在となっていく。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『INSECT』鈴木 瞳
<あらすじ> AI技術が進歩し切り、人間と見紛うばかりのアンドロイドが大量生産される文明が進み切った時代に、インセクトと呼ばれる不思議な生命体が誕生する。インセクトとはありとあらゆる生き物の傷を癒す。胸に埋め込まれたハートのパラメータが完全消滅しない限り、何人でも癒すことができるが、死人を甦らせると、一人でハート全てを消費してしまう。1日経てばハートは元に戻るため、使い切りさえしなければ、効果は永久である。しかし、ほとんどのインセクトはすぐに誰か、何かのために命を使ってしまうため、その寿命はとても短い。 そんな中、突然変異的に自我を持ち、寿命がとても長いインセクトが現れる。それがこのストーリーで主軸となる壱、二十八、史郎だ。彼らはそれぞれ、治癒能力以外にも、一つだけ特殊な能力を持っている。その能力を使い、あるものは享楽的に、あるものは慎ましく普通の人間に近い暮らしをしている。彼らはそんな長い時間の中、史郎をリーダーとして、日本を拠点に基本アングラな事件に首をつっこむちょっとした自警団を気取っている。メンバーには人間の女性の咲もいる。 今回彼らはアバターゲームという、富裕層の青少年たちの間に起こっている社会問題に触れる。ところがこのアバターゲームのバックには黒龍会という反社会的組織が。そこに新興宗教の天眼教の思惑も絡み、ますます事件は大きくなっていく。頭のネジが外れたヤクザ、女俠客、悩める青少年らと関わり、戦い、心を通わせたりの非日常をインセクトたちは楽しむ。しかしそれが終われば、再び日常の中に溶け込んでいく。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。
- 『ネタが欲しいJKと麦が嫌いな幽霊』葛西 七海
<あらすじ> 高校生になった田中姫保は、高校卒業までに漫画家になるという目標を掲げる。しかし、ネタは一向に思いつかないままだった。焦った姫保はネタ探しのために自殺スポットで有名な廃墟ビルに一人で向かう。そこで鈴木日向子という若い女性の幽霊と出会う。日向子は麦正教という麦を信仰する信仰宗教の2世として育ち、死亡前後の記憶はない。姫保は日向子が成仏できなかった原因と思われる麦正教に興味を持つ。麦正教本部に乗り込み、教祖や信者の異様な光景を目の当たりにし、驚きつつも初めての経験に興奮する。姫保の無神経な言葉をきっかけに、日向子は姫保の前から姿を現さなくなる。一方、姫保の両親の離婚が急に決まり、父親から新しい妻である美波を紹介される。美波は高校生の時にデビューした人気漫画家で、姫保もファンだった。姫保は母親と一緒に家を追い出され、漫画制作も焦るばかりで上手く進まず、全てが無気力になり、日向子と出会った廃墟ビルに足が向かう。そこで日向子に話を聞いて貰い、泣きながら今までの自分と向き合う。改めて日向子を救うために親友の芽衣にも協力して貰い、麦正教から日向子の遺骨を盗む計画を立てる。一方、美波の紹介により出版社でバイトすることになり、人気漫画の作者である涼太と出会う。涼太は日向子と血のつながった弟で、麦正教から離れていたが日向子とは再会できないままだった。日向子が涼太に書いたファンレターをきっかけにそのことが判明し、姫保は日向子の遺骨を盗んでくるから日向子を弔って欲しいと涼太にお願いする。麦正教に潜入し、遺骨を盗むことに成功し、日向子の遺骨は涼太の手に渡る。教祖たちは逮捕され、発狂した日向子と涼太の母親により刺される。日向子と別れた姫保は、また漫画家の夢のために奮闘する。 本文は日藝博期間中、江古田校舎で読むことができます。 ▶対面企画 ご感想はページ下部のコメント欄までお願いいたします。